H22.9.19 彼岸法要後 筑前琵琶をきく 田中旭泉

ぷろぐらむ

「那須与一」平家物語より抜粋 作曲初代橘旭宗
琵琶のお話
「熊谷と敦盛」作詞 大塚通草 作曲橘旭宗

 

〈住職感想〉

知人から紹介された琵琶奏者の田中旭泉さんと電話で打ち合わせをしたのは五月の末でした。旭泉さんがおっしゃいました。「ご当地で平家物語に関係する故事などありますか?」。うーん、あることはあるけれど……。松岩寺から直近のユウコク寺さんは直実が建てた淨土宗のお寺ですが、宣伝をする必要はないし失礼だし、と思いながらも、「ナオザネが熊谷の出身です」と答えたら、「熊谷と敦盛」の一段もやることになった彼岸法要でした。この国の古楽器を奏でて、語るのはこの国の古典文学。しかも、ご当地ソング。で、ちゃんと知っているか。原文を読んだことがあるか、と聞かれれば「NO」と答える私ですが、語りの結末が粋なんです。「(ナオザネは)敦盛の後生弔ひし 心の内こそ哀れなれ 心の内こそ哀われなれ」だけでおわっちゃう。エピローグがないんですね。終結部がないんです。急に突然に終わってしまう。急だから、いろいろな想像がかきたてられて、余韻が漂うんですね。近代の音楽や文学の構成が「起承転結」ならば、あれは「序破急」ですね。だから、余韻を大切にしなければと思い、言わなくてはいけないお知らせもせずに終わった彼岸法要でした



2017年01月19日